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夫の帰りが早すぎる

サラブレッドを育てる牧場で働く夢を

実現した夫。

 

朝は早く、5時や6時には馬達を馬房から

出してそれぞれの場所に放します。

 

『朝飼』と『夜飼』という

2つの当番があり、朝飼の日はさらに早く起き、美しい競争馬達の朝の食事を用意するのです。

 

夜飼は夜の食事と水の補充を。

気分転換に一緒についていき、馬達の暮らしのリアルを感じさせてもらっていました。

 

寝床にひいてある藁の匂いが

今でも思い出されます。

 

馬房に必ずいるのが猫。

 

太平洋側の地域で漁港が近いこともあり、

猫がいるのも日常でした。

 

猫だけではありません。

キツネや鹿も毎日訪れます。

 

春には仔馬に限らず、

キツネの親子も子鹿を連れた鹿の群れも自宅の周りを自由に移動する楽園のような場所。

 

自然の中に暮らさせてもらっているのは

私たち人間の方なのだと感じずにはいられない毎日でした。

 

さて、今日の本題は夫の帰ってくる時間。

 

早すぎるのです。

 

早すぎるだけなら良いのですが、

何度も帰ってくるのが牧場の日常。

 

その頃、

16時から『白い巨塔』が

再放送されていました。

 

平日は毎日放送され、

アメイジンググレイスが流れます。

 

私たち家族の住む大きな平家には、

元々置いてあったブラウン管のTVがあり、

夫は白い巨塔を見るのが1つの楽しみ。

 

ということは、

16時には帰宅していたのです。

 

財前教授って笑わないのかな?

黒木瞳さんって美しすぎる。

 

などと思いながら

私は夜ごはんの支度をする時間。

 

帰宅時間は早いけれど、

  

『平和』としか言いようのない時間です。

 

 

牧場の仕事のスケジュールは朝早く出勤し、

7時くらいに朝食を食べに帰ってくる。

 

そしてまた仕事へ行き、11時頃にはお昼休憩に帰ってきて13時頃まで仮眠をとる。

 

午後の仕事へ行き、夕方には帰宅するというのが牧場の暮らしのごく普通の毎日。

 

1日に何回も帰ってくるという日々に加えて

帰りの時刻が驚きの早さ。

 

今振り返ると、

なんと落ち着かない家なのでしょう。

 

牧場の中に自宅があるので、もはや仕事場に暮らしている感覚でした。

 

窓からはいつも

一生懸命に働く夫が見えていました。

 

暑い日も雨の日も、霧の日も、

雪の寒い日も、120%で働く夫。

 

馬に乗って調教するだけではなく

いつの間にか草刈機を使いこなし、馬運車や大きな除雪機、トラクターまでを運転するという姿を窓から眺めていました。

 

そんな一家の大黒柱の為にお昼休憩には必ず家で食事を用意し、帰宅する夕方にはお風呂の用意をして出迎える。

 

となると、

のんびりした生活ができるはずだったはずが、意外と自由時間が少ないのです。

 

午前中に出かけても、

夫のお昼ごはんが気になる。

 

午後から出かけても、

16時には帰っておかなければとどこか焦ってしまう。

 

今思えば、

もっと臨機応変にできたはずなのです。

 

自分で自分の行動を狭くしてしまって、

少しずつ自分のことを置き去りにし始めていました。

 

 

次回、『2分の1』 大事なものが半分に。

お楽しみに♪

 

 

 

 

 


 

玄関を開ければ大きな大きな遊び場。

仕事が終わると子供達は走って外へ。

草木が香り、はしゃぐ笑い声が聞こえてきそうな一枚です。