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北海道移住②

私たち家族が移り住んだ町は
千歳空港から車で1時間ほどの
太平洋を望む馬産地でした。
車移動が必須で、
ゆっくりできるカフェも週末に歩いて
買いに行けるパン屋さんもない。
外出するのはほぼ食材の買い出しばかり。
自宅を出たら、右に行くか左に行くか?
それしか選択肢がないほどの
いわゆる田舎に移住しました。
住まいは大きな牧場内にある大きな平屋。
家の前は大きく開けていて、
芝生が広がっていました。
たくさんの木々と
綺麗な夕陽が見える大きな窓。
目の前には楕円形のダートがあり、
美しくて強靭な競走馬たちが早く走る為のトレーニングをしています。
競走馬たちが暮らす馬房も
ずらりと並びます。
周りは土と草の香りに包まれていました。
パンプスやヒールといった靴で出かけようとすると、まず玄関の前の土にヒール部分が刺さる(笑)
おしゃれをしたい時は、おしゃれ靴を車に持ち込んで履き替えるのが正解。
けれど、そもそも出かける場所もなければ
友人もいない。
素敵な洋服もお気に入りのバッグも
出番がなくなりました。
大好きなメイクからも
遠ざかっていきました。
失うものも大きかったのですが、
得るものも本当に大きなものでした。
娘たちの成長を見守る
ゆっくりとした時間の流れ。
太平洋と日高山脈を望み、
鹿やキツネがいる
ディズニーのような世界。
車を走れせれば、すぐにキラキラとした
太平洋が出迎えてくれます。
風向きによっては
寝室に波音が聞こえ、
心地よい音を聞きながら
眠りにつくことも。
雪解けの時期には白鳥が空を渡り、
ふきのとうが芽吹いて春の訪れを知らせてくれていました。
年明けから春にかけて
近くの牧場では仔馬が生まれ、
仔馬にぴったり寄り添い愛情深く育てる
母馬の姿には、毎年毎年心が柔らかくなりました。
が!
次回は・・
もやもや母ちゃん誕生のお話。

 

 

千歳空港近くのウトナイ湖の美しい白鳥