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もやもや母ちゃん

 

 

時は2007年の北海道。

 

30歳の私と1歳と2歳の娘たち。

 

牧場で過ごす日々に皆さまと

ワープしましょう。

 

自然豊かなところに住み、

可愛いすぎる娘二人と愛犬と協力的で

笑わせてくれる楽しい夫。

 

 

今思えば、

 

またあの頃の娘たちに会いたいと本気で願うくらい可愛くて平和で本当に恵まれた環境でしたが、その頃の私は非常にもやもやしていました。

 

自然豊かな風景や、

清々しい空気では何か物足りない。

 

そんな気がしつつも、

子育てが私の中の大きなミッション。

 

娘達にいろんな遊びをして欲しくて、

2つの子育てサークルに入りました。

 

週に3〜4日、サークルへ通う日々。

 

季節の催しやママさん達との交流をさせていただける本当にありがたい場所でした。

 

少し通い、

慣れてくると気づくことがありました。

 

圧倒的に話が合わない気がするのです。

 

いわゆる公園デビューのお母さん状態というのでしょうか。

 

女性が働く場所、

まして子供さんのいるママが働く場所が少ないのでほとんどが専業主婦の世界。

 

私はというと、働くのが好きで(独身時代はエステティシャンでした)一緒にお客様の理想の体型や美肌を目指すのが何よりも楽しく、やりがいを感じていたタイプの人間。

 

大阪に暮らしていたならば、

復帰してまた切磋琢磨しながら働いていた

ことでしょう。

 

そんな性格なので、

ふんわりした会話が出てこないのです。

 

近所のお話や、夜ごはんのメニューのお話。

 

子供の冬服の準備が大変だね。

(これは本当に大変)

 

それなのにすぐ小さくなっちゃう。

 

お下り今度持ってくるね♪

 

そんな可愛らしい会話が飛び交う

平和な世界。

 

可愛い会話ができない私。

 

 

平和すぎて、もやもやとする日々でした。

 

そんな中でも内地出身(北海道では関東や関西のことを内地と呼びます)のお母さん達とは気が合い、本音で話せるお仲間には救われた日々でした。

 

 

インプットもアウトプットも何もない、

時が止まり、成長できていない状況にも不安があったのでしょう。

 

まだまだ若い30歳ですもの、子育てしながらもいろんな場所へ出向き、母娘共にいろんな

刺激を受けたい時期だったのだと今ならわかります。

 

 

 

求めていたのは

学びや刺激だけではありません。

 

ゆっくりできるカフェで自分と向き合う時間もそうでした。

 

牧場で働く女性のスタッフの方とお話する機会があり、気軽に尋ねてみました。

 

『このあたりのカフェでおすすめはありますか?』

 

帰ってきた言葉は、

 

『え?カフェなんてありませんよ〜、

需要もないですしね』

 

その一言に、

本当にガーンとなり、黙ってしまいました。

きっと私の顔は青ざめていた事でしょう。

 

この頃、一番のショックだった出来事。

 

それは

ゆっくりできるカフェがないという事実。

 

 

そんな事で?

 

そう思うかも知れませんが、

 

『カフェはあるけど行けない』と、

 

『カフェがないから行けない』とではかなりの違いなのです。

 

今では笑い話ですが、

その頃の私には一大事だったようです。

 

その後、10年後にやっと1軒のカフェができました。

 

 

 

 

大事な家族がいて、娘たちと愛犬とお昼寝をして、おやつを作って、毎日美味しいごはんを食べて過ごす。

 

そんな平和な日々に物足りなさを感じる

『私自身』に一番もやもやしていたのだと思います。

 

なんだか切ない思い出です。

 

 

 

 

・次回は『夫の帰りが早すぎる』

 

競走馬を育成する牧場で働く夫を持つ妻の1日をお話します。

 

 

ぜひお楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きな日高町の夕暮れ時。

胸が切なくなる空の色です。